院長コラム

sp_btn01.png
メールでのお問い合わせ

2018.12.01更新

当医院では、従来行われている見た目だけの改善を目的とした小臼歯抜歯を伴う矯正治療ではなく、「人間の成長発育のルール」に即した矯正治療を行っていますが、それでもやはり矯正治療を希望される患者さんの多くに「目立たないマウスピース矯正で何とかやってもらえませんか?」と言われます。

 

そこで今回は『マウスピース矯正、つまり人に気付かれないで歯並びをよくする矯正治療の適応症例について』お話いたします。

 

通常、人は誰かに会えばまずその人の顔を見て、それが笑顔かどうかを瞬時に判断しています。それは日常生活のありとあらゆる様々な場面で起きています。あなたが、会った人から好感を持って受け入れられるか否かは、その時々のあなたの“笑顔”にあると言っても過言ではありませんnico

 

笑顔が素敵、であるためには、マインドの問題もあるとは思いますが、そもそも笑顔を作り出すための良い歯並びと白い歯であることは最低必須な条件となるでしょう。

 

スナップ写真を見ていても、満面の笑みでお口を開けてらっしゃる方は良い歯並びと白い歯の方が多いです。逆に歯並びが悪く銀歯だらけの方はお口を閉じてしまい笑顔もぎこちない気もします。


歯並びを良くしていく歯列矯正治療は、こうしたことに気づかれた人が多くなってきたことでもあり、昔に比べてその数は当医院でもとても増えてきました。  


その中で、特に最近アメリカでその地位を高めつつある矯正治療法に、透明なマウスピースを装着するアライナー矯正があります。

 

アライナー

 

従来では歯並びを良くするための矯正治療は、歯の外側ないしは裏側にブラケットという装置を歯に貼り付けてそれにワイヤーを結紮したものを使って歯を少しずつ動かして歯並びを整えていくものでした。

 

アライナー2


食事中も寝ている時も四六時中歯にそうした装置を着けていなくてはなりませんでした。


通常のこうしたブラケット矯正装置は、歯の外側に出っ張っているために頬粘膜などにこすれやすいし、食事中も食べ物がはさまりやすく非常に違和感が大きいのが最大の欠点と言えます。

そもそも審美的にも良くしたいと思っているのにも関わらず、この矯正装置自体はどう考えても審美的ではないですよね?ehe

 

こういった欠点を克服しようと、開発されたのがアライナー矯正です。

 


透明な樹脂で作られてたアライナーと呼ばれる取り外し式の装置をはめるだけで、歯を動かそうとする矯正治療のことです。

 

最新のコンピューター3D技術のおかげで、最初の悪い歯並びの状態を型どりした後に、コンピューターソフト上で少しずつ歯を思った位置へ動かしていき、それに合わせて沢山の透明なアライナーを作ります。


通常こうした透明アライナーを1週間から2週間に一度の間隔で乗り換えていきます。

 

アライナー2

アライナー3

アライナー4

アライナー5

アライナー6

 

最大の特徴は、そもそも歯にワイヤーや、ブラケットといった装置が無い点です。
ただし、効率的に歯を動かすために一部の歯の表面に、アタッチメントといって歯と同じ色のレジンの突起物をつける場合もありますが、とても小さいので基本的には全く目立ちませんし違和感もありません。

また食事の時にアライナーは自分ですぐに外せますので、その時だけ外して、気兼ねせずに通常通り、何でも食事が出来ます。 食事が終わったら、口をゆすいでまた口の中にはめるだけでいいのです。

 

ただし、1日最低17時間以上、推奨は22時間以上、就寝時は忘れずに装着して頂くことが必ず必要となります

 

しかしながらアライナー矯正に向いている症例、向いてない症例があります。

 

アライナー矯正の得意とする不正咬合治療はどのようなパターンなのでしょうか??suu

 

人の顔の骨格形態は上顎と下顎で構成されています。


上顎に対して、下顎が前よりに位置している場合にはクラスⅢとよび、丁度良い場合はクラスⅠと呼び、逆に下顎が後ろに行き過ぎている場合にはクラスⅡと呼んで大まかに分類しています。


簡単な言い方をすれば、受け口傾向か、出っ歯傾向かということになります。


例えば、分かりやすい例だと元プロレスラーのアントニオ猪木さんやオリンピックフィギアスケート金メダリストの荒川静香さんなどはクラスⅢの骨格ということになり、芸能人の明石家さんまさんなどはクラスⅡの骨格ということになります。MLBのイチロー選手、ゴジラ松井秀喜元選手はⅢ、フィギアスケートの羽生選手はⅡになります。


クラスⅠであっても、歯並びがごちゃごちゃで乱杭歯の方は数多くいますので、骨格形態がクラスⅠだからといって歯並びが良いとは限りません。


そもそもアメリカでは骨格形態がクラスⅠより、クラスⅡの不正咬合の方が非常に多いという事実があります。

 

実は、アライナー矯正全般に言えることですが、治療する際に非常に効果的と考えられるのは、このクラスⅡの軽度な人たちと、クラスⅠの骨格形態の人たちの治療なのです。 


クラスⅢの骨格形態の人には、はっきり言って、ブラケット矯正、しかもGEAWによる治療法のほうが安全で確実と言えます。

 

少し脱線しますが、クラスⅢ治療にはブラケットをつけてマルチループエッジワイズアーチワイヤー(MEAW)という複雑な力をかけることが出来るようなワイヤーを使うか、最近開発されたGUMメタルという特殊な弾性係数を持っているワイヤー(GEAW)を使ってでしか治せません。


この手法は、もともとアメリカのDr.KIMが開発したものでした。


メカニクスが複雑でワイヤーを複雑に曲げる必要から、あまり手先が器用ではない米国では広まらなかったのですが、当時の神奈川歯科大学の矯正学教室の佐藤貞雄教授がオーストリア咬合学の生みの親であるウイーン大学のスラバチェック教授の「人間の成長・発育のルール」を用いた「悪い歯並びと噛み合わせの原因の多くが、人間の成長発育の段階で生じた顔の骨格と臼歯部(奥歯)の高さの不調和である」という治療の概念を最初に日本に導入され理論づけの研究をしてMEAWに適用して進化させました。

 

MEAW


クラスⅢという、いわゆる受け口傾向の骨格の治療には噛み合わせの咬合平面を変えることの出来る手法でない限り、矯正治療はなかなかうまくいきません。

通常なら外科手術が必要とされてきたかなり重症なクラスⅢ症例の方達も見事に治療成功させており、現在もその基本的な概念と手法は臨床上有効に生きて多くの先生に使われています。

 

GEAW

 GEAW治療途中

 

 

そもそも、従来の矯正治療の概念の中には、上下顎の高さと角度に対して、積極的にアプローチをして歯並びと噛み合わせを治していこうとする考え方が矯正治療の歴史の中にはありませんでした。


マルチループやGUMメタルを使った矯正治療は歯の圧下と挺出が自在に出来るために、咬合平面をコントロール出来るという点が最大の強みです。ですので、ほぼ全ての症例に対応可能な方法です。当院でも症例に応じて、この考え方での治療が主流です。

 


実際、矯正専門医の中でも、複雑にワイヤーを曲げる面倒さからこのMEAW法を用いた矯正治療は出来ないかやらない方が多いようで、いわゆるストレートワイヤーを用いた矯正治療を行う方法が圧倒的に多いのも事実です。


アメリカではクラスⅢ症例に関しては下顎骨格を外科的に短く削って、上顎とのバランスを強制的に合わせて治すという、外科的矯正の対象となる診断が多くあるのも事実です。

 

さて、話をアライナー矯正に戻しますが、クラスⅠ、軽度のクラスⅡの顔面骨格であることが術前診断から分かれば、あえて、複雑で違和感の多い従来型のブラケット矯正をやる理由はほとんど無いと言っていいでしょう。

 


アライナー矯正の唯一の欠点を挙げるなら、歯に着けていない限り歯が動いていってくれないので、寝ている時も含めて、食事以外の一日通常22時間が装着推奨時間となります。最低でも17時間です。


ついつい装置を口に入れるのをさぼってしまうと、予定通りに歯が動いて行ってくれなくなります。

最近では複雑な症例の場合、最初はまずブラケット矯正をしてから、ひどい不正咬合をある程度治しておいてから、終盤になった時にブラケットとワイヤーを外して仕上げにアライナーをつけていく、といった方法も取り入れられています。


また、10代の子供たちにとっても、アライナー矯正は非常に有効です。


なぜ10代の子供たちにとってアライナー矯正が有効かというと、この時期の子供は下顎位といって上下の顎の位置関係がまだ成長発育期にあり、上下的にも前後的にも適応能力が非常に高いからです。

ブラケット治療をしていると、学校でからかわれたりする心配があり、装置が外れて緊急で来院するといった手間ができることもあります。


また、部活や進学で忙しい時期でもあるので、なるべく来院間隔は少ないほうが嬉しいものです。


 
大人の歯が生え揃う永久歯列期または混合歯列後期における下顎劣成長を伴うクラスⅡ不正咬合の成長過程にある患者さんなどにはまさにアライナー矯正装置はうってつけの装置と言えるでしょう。

 

投稿者: アクアデンタルクリニック