本当に身体に調和した矯正治療とは?
当院に噛み合わせが悪いとの相談でいらっしゃる患者さんで多く見受けられるお話をいたします。
それは過去に第一小臼歯(犬歯の真後ろの歯)を抜歯して矯正した方が非常に多いという事実です!
その方の多くは詳しく調ると、現在上下で噛み合わさっている歯の位置に問題があることがわかり、その位置で噛むと、いやでも顎が後ろにバックしたところで噛まなくてはならないといった状態であることがわかりました。こういった状態は長く続くと顎が痛くなったり、不定愁訴とよばれる、頭痛、肩こり、顎のだるい感じといった複雑な症状に陥ってしまう場合があります。
ドイツと並び歯科最先進国の一つと言われているオーストリアの噛み合わせの学問では『第一小臼歯こそ噛み合わせを安定させるために必要不可欠な歯』という認識が確立されており、矯正治療の際に第一小臼歯を抜歯することはまずありません。
患者さんには現状を教えて差し上げ、場合によっては再度矯正治療が必要であることをお教えします。
昔、矯正治療をしたにもかかわらず、また矯正治療が必要だということを知るとほとんどの方が驚きます。
過去に当医院に矯正相談に訪れましたが、お仕事の都合でアメリカ赴任となり、そこで第一小臼歯を抜歯して矯正治療を行った患者さんが帰国後来院されましたが、確かに見た目は(前歯の出っ歯)は一見直っているように見えるのですが、奥歯の噛み合わせは以前と比べてなんら変わっておらず、本来噛みたい位置と、現在の噛んでいる位置が以前のずれたままの状態だったのです。矯正治療にもいろいろな考え方があり、特にアメリカにおいては審美的な側面から小臼歯を抜歯しての矯正治療がメインに行われてきたことから機能面での治療が後手に回ったとして捉えられておりました。
アメリカは訴訟大国ですので、矯正治療と不定愁訴に関しては相関はないとして一刀両断に片付けようとされてきましたが、噛み合わせを治すと、身体に不調を訴えていた患者さんが本当に調子が良くなっていくのを日々経験している臨床家達はそれは正しくないといった認識を皆持っていることでしょう。
ただし、問題は本当に現在の症状がその噛み合わせの不具合からきているのかといった判断、診断は慎重に、科学的である必要はあります。噛み合わせを治せば全て良くなるといった宗教まがいの考え方にも問題はありますが、原因をまず調べることが一番重要なのです。
ですので、顎の位置のレントゲン写真、詳しい問診、筋触診などが必要になってくるわけです。ちなみに、そういった検査は国がそこまで面倒を見てくれないので健康保険ではできません。現状のその方のかみ合わせの詳しい顎機能検査には4万円必要となります。
当医院では矯正治療を始め、全体の治療を始める方に関してはすべてこの検査をしてから現状をしっかりと見極めた上で、治療の方向性を見出して、進めていくようにしております