当医院で開咬(オープンバイト)に次いで相談が多いのが受け口、それも他医院や大学病院で「顎切り手術」が必要と診断される重度なケースです。
骨格性の受け口の場合、外科手術をすることで見た目は改善出来ます。しかし、手術の肉体的精神的負担、長期間の入院、食事の制限などを考えると矯正治療を諦めてしまう方が多いようです。
また顎切り手術に伴い何本か下顎の歯を抜歯することが多く、せっかく見た目が改善されても機能面が劣ってしまいます。
当医院では受け口、特に咬み合わせが深い受け口の方は咬む力がかなり強いので、最初からGEAWシステムではなく、最初の半年ほどは拡大床という少しずつ上顎を広げていく装置を使用して、下顎に対して上顎が覆いかぶさる本来の形になってからGEAWに以降させるパターンが多いです。
また長年矯正治療に携わってきた経験上、その方がGEAW単体で行うよりも少し期間がかかりますが、患者さんにとっても楽で仕上がりが綺麗だと感じています。
重要なのは、患者さんの審美面(見た目)と機能面(お口の機能改善)への要求の優先順位とバランスを考えることです。
例えば故・アントニオ猪木さんのような受け口の方がキムタクのようなシュッとした顎になりたいのなら迷わず外科手術をするべきです。
しかしながら、見た目は受け口骨格の中でノーマルの骨格に近いレベルまで改善し、機能的に問題ないレベルになることが一番の目標と考えるのなら、拡大床+GEAWシステムで十分ということです。
今回ご紹介する患者さんは大学病院2か所で顎切り外科手術が必要と診断されましたが、外科手術をしてまで見た目の改善をするほどまでは望んでおらず、GEAWシステム前に拡大床を用いて上下顎の被蓋関係を正常な状態にしておけば外科手術なしで十分治療可能と判断しました。
【主訴】受け口を治したい。大学病院2か所で重度の受け口のため顎切り外科手術が必要と診断されたが外科手術無しで出来る範囲内で治療したい。とのことで当院を受診された30代の女性。
【治療方法】拡大床を用いた後に新素材ゴムメタルを使用したGEAW(ギア)システム用い、顎切り外科手術しないで治療を行いました。
【治療期間】拡大床6か月→GEAW1年11ヶ月
【治療後】手術無しでこれほどまで綺麗に治るとは思っていなかったので、しかも良く噛めてとても満足との言葉を頂きました。
【治療費用】診査・診断および拡大床、リテーナー(後戻り防止装置)も入れて:約100万円
【治療に伴うリスク】1日20時間以上顎間ゴムなどの患者さんの協力が必要です。 歯の移動に伴う痛みや口内炎などがあります。 矯正期間中は虫歯、歯周病のリスクが高くなります。歯の移動に伴う歯肉退縮や歯根吸収が起こる事があります。
矯正前
矯正後
開咬(オープンバイト)でお悩みの方、
他医院や大学病院で第一小臼歯抜歯が必要と言われた方、
他医院や大学病院で外科手術が必要と言われた方重度の受け口の方、
他医院や大学病院で難しいと言われた難症例の方、まずは一度ご相談ください。