噛み合わせと矯正をメインに25年臨床に携わっていてハッキリ言えるのは、実は一番危険な噛み合わせは「開咬 かいこう」であるということです。
「開咬」=「前歯が噛み合わず奥歯でしか噛めない」という状態を指します。
「開咬」=「オープンバイト」とも言います。
① 前歯で食べ物を噛み切ることが出来ない。
② 奥歯しか当たらないので、奥歯に負担がかかって痛い。
などの症状が見られます。また奥歯への負担だけでなく、
③ 呼吸、姿勢、発音など様々な問題が生じます。
当医院では開咬の原因は「人間の成長発育の段階で生じた顔の骨格と奥歯の高さの不調和」にあると考えています。
詳しい話はここでは省きますが、ざっくりと言うと「奥歯の噛み合わせの悪さ」だと思って下さい。
これはGEAWシステムによる矯正治療をしないと治すのは難しいと考えます。
開咬の原因は「舌癖=舌を前に出す癖」とも言われていますが、私の臨床経験上、舌癖が原因のケースはほとんどありません。やはり、噛み合わせを崩す一番の原因は奥歯にあると言って間違いないと思います。
ここで誤解してはいけないのが、開咬の原因が奥歯の噛み合わせの悪さだからと言って、奥歯を削ってしまうことです。奥歯を削ると逆に開咬が酷くなります!!奥歯を削る行為は奥歯の噛み合わせをより悪くするのです。
開咬で奥歯を削ってしまい、開咬がより酷くなった方を何人も見てきました。開咬の改善のために、絶対に奥歯を削ってはいけません!
奥歯の噛み合わせの悪さの改善にはGEAWシステムによる矯正治療で奥歯の位置自体を変える必要があります。
開咬の方は奥歯を削る前に一度ご相談ください。GEAWシステムによる矯正については是非とも当医院ホームページ内の矯正治療の箇所をお読み下さい。
是非とも、小臼歯の抜歯をしない開咬治療、外科手術をしない開咬治療という選択肢を一度ご検討頂ければと思います。
ちなみに皆さんは「8020運動」という言葉をご存知ですか?
「80歳になっても20本以上自分の歯を保とう」という運動です。
現在、8020を達成した方は51.2% (平成28年 歯科疾患実態調査)で実に2人に1人は達成しているという驚くべき結果が出ています。
約20年前の平成5年の調査では約10%でしたので、日本人のお口の健康は明らかに向上しているようです。
そこで気になるのは、8020を達成した方がどんな噛み合わせなのか?
ある文献によると、ほとんどの方が正常咬合、つまり骨格的に上下の顎にずれがない噛み合わせだったようです。
そして、受け口、開咬の方はいなかったとのことです。
つまり逆に言うと、受け口、開咬は歯への負担がとても大きく、将来的に歯を多く失う可能性の高い噛み合わせだということになります。
そのため、歯を失う主な原因である虫歯や歯周病のリスクを下げることが出来ないと考えています。
先ほども載せましたが開咬(かいこう)の方の写真です。
奥歯しか噛んでおらず、歯への負担が非常に大きい噛み合わせです。
年がら年中奥歯の治療を繰り返していて、また、前歯が開いているので、発音しずらいとのことです。
レントゲン写真を見ても奥歯が大々的に治療してあることがお分かりになるかと思います。
この患者さんは以前大学病院に相談に行ったところ、外科手術をしないと治せないと言われたそうです・
当医院では、重度の開咬症例でも、外科手術なし、小臼歯の抜歯をしないで治療を行っております。
↓ 実際の治療後の写真です
45歳の女性。治療期間約1年。矯正治療のみ(外科手術はしていません)
また、これも25年矯正治療に携わっていて痛感しているのですが、開咬の場合素人目からすると歯並びが悪いようには見えないので、なかなか矯正治療の必要性について説明しても理解が得られないことです。
何度も何度も奥歯の治療を繰り返しているだけではまだダメで、いよいよ奥歯の抜歯が必要となったり、顎関節症状が出て初めて耳を傾けてくれます。
矯正治療で開咬を治療することで、少しでも8020を達成する方が増えることを願っています。