私どものクリニックでは初診時やお久しぶりの患者さんには出来るだけお口の中全体が総覧出来る、パノラマレントゲン写真を撮らせて頂いております。
中には「痛い所はどこも無いから」とかの理由で、断られる方もいらっしゃいます。
しかし
自分では何でも無いと思っていても年々体力は変化していきます。口腔内の環境も知らぬ間に大きく変化している可能性があります。
特に 虫歯は初期の段階では症状があまり出ない、というか全く気が付かないことの方が多いようです。
初診でクリーニング希望で来院された患者さんの左下の歯の写真です。ご本人には何の自覚症状も無いとのことでこの写真をお見せしても虫歯だったとは分からなかったようです。
一方これはパノラマレントゲン写真です。このレントゲン写真から
1.左下奥から2番目の銀歯の下に神経に達するレベルの大きな虫歯があるのが分かります。
2.左上前から2番目の歯の後ろ(犬歯との間)に隣接面虫歯があるのが分かります。
3.左上奥から2番目のかぶせ物の中は根の治療済みですが、根の先に黒い影8根尖病巣)があるのが分かります。
4.上下共に親知らずが埋まっているのが分かります。
5.左下1番奥の歯の詰め物の中が虫歯になっているのが分かります。
これらのことは、外見だけではなかなか分からないものです。
虫歯は細菌感染症です。弱い箇所から、磨きの悪いところから攻撃を開始してきます。最初は気付かれないように静かに攻撃しながら徐々に病巣を拡大していきます。
痛くないのに治療を勧められた?必要ないのに写真を撮られた?…といった話をよく聞きますが、痛くならない前に虫歯を見つけてもらって治療してもらって逆に良かったですね!…ということになります。
たいていは何らかの症状が出てから来院される方が圧倒的に多いので、それでは遅いということになります。