院長コラム

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2018.09.12更新

質問です!

 

70歳を過ぎた時に皆さんは下の写真のどちらのお口の状態で居たいですか

 

藤門鬼川

 

実は、この写真のお二人とも72歳の同じ歳の方です。

 

真面目にこのコラムを読んでいる皆さんなら当然上の写真の状態で居たいですよね??

 

それでは…

 

皆さん歯科治療を受ける時に今までどのような受け方をされてきましたか

 

もしかしたらこれから書くようなよくありがちな治療を受けてこられませんでしたか??

 

そして当然と思い何も疑問を感じなかったということはありませんか???」 

 

もしこれから書くような治療をされてきていて、それに対して何も疑問を感じていないなら、70歳になった時に上の写真の方のようなお口の中で居られるのはまずは不可能だと断言できます!

それどころか70歳、いやもっと早い50歳とか60歳の段階で下の入れ歯のようなお口の中になってしまわれるかもしれません!!

 

 

【悪循環な歯科治療の例】

 

Nさんは、会社の定期健診で数本虫歯があり歯石が溜まっていると指摘されたので、直ぐに会社の近所の歯科医院に行って診てもらいました。

 

案の定、虫歯と歯周病ということで、歯石除去と虫歯を削って治療してもらい、その部分には健康保険の部分的な銀歯とプラスティックの歯が入れられて、2回で治療は終了しました。

 

数年後にまた… 会社の検診で今度は別の場所が虫歯になったことを指摘されました。 Nさんは再び会社近所の歯科医院に治療に行き、歯石除去をした後に別の銀歯とプラスティックの歯が口の中に増えて、治療は終了しました。その時は前に診てもらった先生は退職していて別の先生に治療してもらいました

 

そんな治療の繰り返しが何年かおきに何回か続いた結果、気がついた頃には、ほとんど奥歯は銀歯とプラスティックだらけの状態となっていました。まるでお口の中が金属の墓場ganみたいです。そしてプラスティックの歯は変色して黄ばんだ状態です。

 

金属の墓場

 

 

 

Nさんにとっては、ほとんどの歯は既に治療されているから、そこはもう虫歯にはならないだろう、もうこれで当分は平気だろう…と思っていたわけです。

 

ところが… 今度は数カ月してから、以前に治した銀歯のキワの部分が黒っぽくなっていてしみるようになったのです。

 

それに加えて、以前より歯ブラシを当てると血が出やすいので、再度会社の近所の歯科医院に行くことにしました。すると、今度は治したはずの銀歯と歯のつなぎ目から虫歯が進んでいて、銀歯の下の方にはかなり大きな虫歯が広がってしまっている、と歯医者さんから説明されたのです。実際に治療用の探針がひっかる状態でした。ちなみに担当してくれたのはまた違う歯医者さんでした

 

Nさんは通院する度に毎回担当してくれる歯医者さんが違っていました。先生が大勢勤務している会社の近くの大きな歯科医院に通っていましたが、たまに治療中の仮の詰め物が取れた時に予約無しで駆け込んだりした時には「本日は担当医が不在のため日を改めてお越しください」と言われて数日我慢しなければならないのが不便でしたが、会社から近くて便利なため特に他の医院に変えようとは思いませんでした。

 

銀歯の中

 

 

 

 

銀歯の中2

 

仕方なく麻酔の注射を受け、一度治した銀歯を削って外した後、黒くなってしまった部分と虫歯で悪くなった所を更に深く取り除かれました。今度は神経まで虫歯が達していたので、神経を取る治療までしました。これですっかりしみなくなって良かった、ということでしたが、今度は最初よりも大きなクラウンと言う歯全部をかぶせてしまう銀歯が入って、治療はいったん終了しました。

 

その後は痛くなることは無く過ごせていたのですが、また何年かして、今度は治した銀歯が自然に取れてきたのです。銀歯が取れる少し前あたりから、歯磨きをするとやはり血が少し出て、そこには物がやけに挟まりやすい…といった症状はありました。

 

しかも何となく口臭も強くなってきた感じがしました。それでも今回は痛くないのできっと簡単に付け直してもらえばすぐに終わるだろう…と気楽に歯医者さんに行ったところ、「虫歯が沢山進んでいるのでこの銀歯はもう使えません」と言われました。


神経を取って銀歯をかぶせた歯でも虫歯は進むのだ、痛くなくても虫歯はどんどん進んでいくのだ、ということをNさんはこの時初めて知ったのです。さらに厄介なことに神経の無い歯は以前のように虫歯が進んでも決して痛くなってこないため、事の重大さに気づくのが遅れて、結果的に相当大きな虫歯になってしまっていたのです。

 

歯は象牙質とエナメル質という硬い組織で出来ていますが、虫歯になると、おが屑(くず)のように柔らかくなってしまい、虫歯菌で感染された歯質の部分はそのままにしておくとどんどん進行して柔らかくなっていくのです。

結果的に虫歯にやられてしまった悪い所を全て削り取られると、ほとんど自分の歯が残っていないすり鉢状の切り株の状態となり、歯の本体自体どころか、根っこの部分はほとんどない薄い状態となってしまったのです。こうなると、土台を立てて大きな歯を支えるだけのものは無理です。


「もうやり直しはできないので保存不可能ですね、抜歯です。」と言われ抜歯しか選択出来ない状態unでした。

 

抜歯

 

 

 

Nさんは今まで虫歯になったら、いつも真面目に歯科を受診して、その都度しっかりと治しているつもりでした。それなのに、何年かごとにダメになっていくのは仕方がないものなのかな?、、、と思いながらも、何故そうなるのだろうか?と少し疑問を持ち始めていました…

 

【これまでのお話の問題点とは?】


皆さんはこのストーリーをお読み頂き、Nさんのこれまでのどこに問題があると思われたでしょうか?

 

また、もしかしたら皆さん自身も経験されてきませんでしたか


虫歯が出来たからと言ってNさんはそれを放置していたわけではありませんし、診療を真面目に受け、言われたままに治療され、その後終了となっています。Nさんに責任は何一つ無いように思えますよね?


 Nさんは当医院に実際にいらしている方で、基本的にとても真面目な方です。こういったNさんのような患者さんは当医院以外でもとても多く、我々の毎日の仕事は、ほぼそうしたことの繰り返しをしているといった状況ではないでしょうか?このような方があまりに多くいらっしゃるので、今後はこういった方々がどうすれば再治療のない長期的に安定した方向へ持って行けるか?といった事をお伝えしたく今回こうしてここに紹介させて頂いているわけです。

 

多くの真面目な患者さんが、例えそれが自分の為とはいえ、治療のために何度も足を運んでくださっているにもかかわらず、何故一定期間後に再度同じような治療を再び受け続けなくてはならないのでしょうか?

 

実は、Nさんの治療のストーリーにはつの大きな問題点があったのです。

 

これからお伝えするそのつの問題点を他人事と考えず、是非今後ご自分がどのような行動をとればよいのかということの参考にして頂きたいのです。そうすることにより、一般的によくありがちなNさんのような結末にはならないとお約束出来ます。

 

 

問題点1

初めての治療の時に、虫歯がどうして起きたのか?という理由と、今後そうならないための対策法について教えてもらっただけで、今なってしまっている虫歯の所だけを治してしまえばそれでもう治療は終了してしまってその後は何もしなかった点というにあります。

 

虫歯や歯周病になった理由を聞いたとしても、しっかりと毎日の生活の中でどうすればそうならないのか?という具体的な方法を実行に移していなかったという事が決定的に問題のあった点となります。

 

 虫歯は虫歯菌で起こる細菌感染症です。歯槽膿漏は歯周病菌によって引き起こされる細菌感染症です。」

 

Nさんは口の中にこの悪玉細菌に感染している状態で口の中の組織の抵抗力が弱くなり、虫歯や歯周病が発症してしまったのです。細菌の棲家となっているプラーク(歯垢)は歯磨きだけでは60%しか取り切れていないので、虫歯や歯周病を進行させないためには歯科医院で定期的なクリーニングを受けて頂くことがとても大切です。

 


基本的に細菌の量をコントロールすべく、しっかりとした口腔ケアをすれば防げます。また、だらだら食いなどの乱れた食生活があると簡単に虫歯になってしまいます。歯並びが悪くて磨き方が上手くないといった人など自分で虫歯リスクが他の人よりも高いと思う場合には、何でもなくても定期的な口腔ケアクリーニングなどの予防処置で歯科を受診することで、虫歯の予防や歯周病の予防にもなります。

予防メンテナンスクリーニングは、健康保険では出来ないのですが、そうした知識を知らない方にとっては、痛くもないのにあえてお金をかけて自費でクリーニングする意義がお分かり頂けていないという残念な状況が日本にはまだあるようです。そもそも今までの歯科診療所ではそういったアナウンスをしているところはほとんどなかったと思います。歯科医院は悪くなったら治す場所ではありますが、悪くならないために行う予防処置を行うところでもあるので、そのような考え方にマインドを変えていただけるとNさんのようにはならないのです。

 

問題点2

初めて治す場所に、健康保険治療で使われる銀歯やプラスティック以外に、プラークを寄せつけない安定した生体親和性の高い別の素材を選択する余地は無かったのか?という点が挙げられます。

 

健康保険では、大臼歯の虫歯治療の場合、虫歯が大きくなると基本的には金属の銀歯しか認められていません。(小さな部分はコンポジットレジンという白いプラスチックの詰め物で治されます。)

 


銀歯は実は金属イオンの影響で、口腔内のプラークを引き寄せやすく、特に隣り合った歯とのそのつなぎ目は慢性的に汚れやすい状態になります。そのまま磨き残しが歯と歯の間にある銀歯の部分から、酸化腐食して黒くなり、2次う蝕と言って虫歯が再度そこから出来る事がとても多い素材なのです。

 

コンポジットレジンは小さい範囲の虫歯であれば、麻酔も不要な場合が多く、当初は歯と同じそっくりな色で出来るので、患者さんに大変喜ばれるのですが、数か月経過すると、プラスティックの性質上表面が粗造となるため汚れが着色し、噛み合わせの面に使った場合擦り減って噛み合わせのバランスが狂ってしまうのです。当然、歯とプラスティックの隙間も大きくなり2次う蝕となりやすいのです。

 

実は毎日の私どもの治療の半分以上は残念ながらこうした“2次う蝕”になってししまった方の治療の時間に割かれているという実態があります。

 


それでは、もしご自分の口腔内の状態が人よりも常に清潔に保てている自信がないのであれば、最初からそうしたリスクにさらされにくい素材、例えばセラミックやジルコニアなどの歯と同じ色の素材を、少々高くても選ぶべきではなかったのではないでしょうか?

また、保険が利かないから、高いからという理由で、最初から情報を与えられていなかった可能性もあります。基本的に健康保険の素材は、学力で言うところの義務教育レベルです。


穴が開いた場所を埋めてとりあえず噛めるようにするという、最低限度のところまでしかカバーされていないのが健康保険レベルのものなのです。義務教育レベルの上には高校や大学があるように、歯科で治す素材も、優れた素材が健康保険の銀歯以外にもたくさんあるので、それを希望される方はそちらに進むわけです。

 


歯科治療も、そのことの本質を理解されて、既に昔の治療で入れてしまった銀歯を後日外されて生体親和性があり、金属アレルギーの心配のないセラミックやジルコニアといったプラークのつきにくい白い素材に置き換えていかれる方が最近特に増えてきました

 

ジルコニア

 

ちなみに銀歯は歯科医師ならば絶対に自分や身内には使いません!

 

歯科最先進国であるドイツ・スイス・オーストリアや歯科先進国であるアメリカやフランスでは、患者さんのお口の中に銀歯や針金の入れ歯を入れることはしませんし、歯科大学でそのような教育をしていません。

 

ドイツでは患者さんのお口の中に無断で銀歯を入れた歯科医師は禁固刑になるくらいです。

 

問題点3

 

Nさんは通院するたびに毎回担当医が違うということでしたが、ここで誰かがNさんのお口の中の状態を見て、上記した問題点1と2をしっかり説明して、Nさんに今後どうするか?を選択してもらうべきだったのではないでしょうか?

 

そこはやはり同じ担当医ならばNさんの治療ストーリーを把握しているのでどこかでこの悪いスパイラルから戻してくれたのでは?と思いませんか?

 

 

いかがでしたか?

 

これまでのような真面目で治療主体型の患者さんはダメで、先を見据えた戦略型の患者さんでなくてはならない理由がお分かりいただけたでしょうか?

 

病気になってから初めて病院で提示されるままの診療を黙って受け入れてこられた従来型ではダメで、自分からどうすれば今後うまく維持していけるのかを考えながら診療所を使い倒すような患者さんこそ本当に長期的に安定した状態を維持していけるということなのです。

 

人の寿命が延びた結果、健康寿命をいかにして長くするか?、、、といった議論がよくされています。実は、口腔内を入れ歯ではなくしっかりとしたご自分の歯で老後過ごされている方のQOLは、そうでない方に比べて計り知れないものがあります。

 

老後は食事や人との旅行が唯一の楽しみでしょう。そんな時でも、いちいち硬いから食べられないなどと言って食べられるものを気にしながら食べるのはとても残念であるし、またそういった気兼ねがあると人と一緒に外へ出なくなってしまい、どんどん老けこんでいくでしょう。

 

そもそも歯を失わないための口腔ケアの習慣化、そして予防としての定期的なクリーニング、更には治すのならなるべく2次う蝕になりにくい良質な素材で治すという基本的な考え方は、結局老後になっても歯を失わずに過ごせるための一番最初の登竜門であることがご理解できた方からそれを実行に移されていかれているようです。

歯をよく磨きましょう…そんなことは聞き飽きました。


問題はどうしたら口腔内の細菌量を減らすことが出来る方法なのかを考え、そして治すのなら最初からやり替えのリスクの少しでも少ない良質な素材で、ということになるわけです。

 

私が平成14年に開業してから既に17年以上経過しています。その後、診療室の登録患者数は現在までに2千人を超えました。

 

そしてそこから分かった事実は、Nさんのような全て健康保険任せの治療習慣から脱却されていかれた方の多くが、結局は安定した状態をその後も享受し続けられているという事なのです。

 


私どもは長年の経験と実績からどうすれば長期的に安定した状態で口腔内を保つことが出来るかという答えを持っています。

 

極端な話、お金があればインプラント治療を受けることが出来るので入れ歯にはならないでしょう。セラミックで白くて綺麗な歯を入れることも出来ます。しかし親から授かった天然の白い歯や自分の根っこがある歯は二度とお金で買うことは出来ません。

 


 かなり条件の悪い状況からでも私どもの提案を信じて実行された結果、大勢の方が毎日の安定した口腔内状態を現在も続けることが出来ています。

 

70代になってもご自分の健康な歯で口元が若々しければ老人には見えません。そんな口元に対して最大限の注意を払っていただける方に対して、私どもの診療所では様々な対処方法をご提案させて頂いております。

投稿者: アクアデンタルクリニック

2018.09.11更新

健康保険レベルの治療は、 例えると車の運転ですと教習所レベルで、教育の世界でいうと義務教育レベルだからこそ知っておいて頂きたいかぶせ物の素材と実態についてです。
 

むし歯が大きくなってしまった場合には、そこの部分を削り取った後にかぶせ物をして歯の形を補うようにして治療をします。

 

健康保険の治療では前歯のかぶせ物には硬質レジン前装冠というかぶせ物が使われます。これは金銀パラジウム合金という金属をベースにして、硬質レジンというプラスチック樹脂を貼り付けて表面を歯のように白く見せて補います。金属をベースにしているために下地素材の強度はありますが、表面のプラスチックが経年変化で黄ばんできたりこすれて剥がれてきたり、色のついた食べ物や飲み物により着色しやすくなるといった欠点があります

 

これに対してセラミックを素材とした自費治療であればそういったことは起きません耐久性があり経年変化に強く最大の利点として長期的に安定した状態を保ちやすいですまた審美的にも歯独特の透明感が出せるために自然になります

 

 

セラミック

 

この写真では上の前歯2本はジルコニア(強化オールセラミック)を入れてありますが、予算の都合で上の両脇2本はレジン前装冠というプラスチックを貼り付けてある健康保険で出来る歯が入れられた1年経過後の写真です。

 

自分の本当の歯である下の前歯との色の違いがお分かり頂けるでしょうか?

 

上の両側の側切歯の方は黄ばんできています。入れた当初はそれほどの違いが目立たなかったのです。ダメになってしまったわけではないのですが、経年変化で見栄えが悪くなっているのがお分かり頂けるでしょうか?

 

① かぶせ物の経年劣化が少なく、長期的な安定性が健康保険の素材より優れている。


② 金属イオンによる酸化がないために、歯茎の境目が黒くならないで審美的である。


③ もし将来やり替えが必要になった場合に酸化して黒くなってしまった部分を削り取る必要がないため、歯としての寿命を縮めることがない。    

  

以上が前歯のかぶせ物で自費治療の素材をお勧めする3つの大きな理由です。

 

 

この写真でわかるように健康保険の治療ではかぶせ物の下地に酸化したときに黒くなってしまう銀合金の金属が使われるので、経年変化で歯茎の境目に銀イオンが黒く溶けだしてきて、審美的とは言えない状態になってしまうのです。

 

それに対して自費でかぶせるジルコニア(強化オールセラミック)冠の場合には金属を一切使わないためにかぶせた後の経年変化に対しても歯茎が黒ずんでくるといった心配はありません。そのために長期的に審美的な状態が維持出来ます

 

確かに金額はかかりますが、やり替えが少ない方がその度に削りこまれる自分の歯の本体の部分が少なくならずに結果的には大切な歯の寿命を延ばすことになります。またやり変えが必要になった際に何回も通う通院時間に奪われる大切な時間まで考えると結果的には安く済むと言えるのではないでしょうか?

投稿者: アクアデンタルクリニック

2018.09.01更新

皆さんご存知の通り、当医院では開業以来一貫して「噛み合わせ」を重視した診療を行っています。

 

噛み合わせが悪い人は顎関節症になりやすいと言われますが、必ずしも噛み合わせが全てではないことも最近分かってきています。噛み合わせが問題なくても、日中の過度の食いしばりや舌の押し付けなどの習癖、あるいは頬杖や足組みなど態癖と呼ばれる事なども顎関節症と間接的にリンクしている事も分かってきたからです。

 

前歯と奥歯

顎の動きの中での前歯と奥歯 

 

 

しかし以下の3つの症状で、どれか一つでも当てはまる方は、もしかしたら前歯と奥歯の連携がうまく取れていない可能性があります。我々の業界用語でいうところの「干渉がある噛み合わせ」ということになります。

 

1.     朝起きた時に、顎が疲れた感じがする。あるいはどこか特定の歯が浮いた感じがする。

2.     食事の後に顎が疲れやすかったり痛くなることがある。

3.     起きた姿勢でどこにも力を入れないで上下そっと閉じたときに最初に前歯が当たり過ぎる。

 

 

人は物を噛んで食事をする際、最初に下の顎をほんの少し前に出してガブリときて、その後奥歯でモグモグとした後に、ゴクリと飲み込む…この繰り返しです。

 

食べる時には下の顎を少しだけ無意識に前に出して(約1-1.5㎜位)噛み付きますのでこの時に初めて前歯が当たり始めます。また、当たっていないと噛み切れないのです。しかし筋肉位と言って、無意識にすっと噛んだ時に、既に前歯が先に当たってしまっている噛み合わせでは前歯の当たり過ぎなのです。この前後の遊びの部分を、下顎安静位と呼んでいます。

 

起きた状態で上下の歯を噛み合わせた状態で下顎をほんの少しだけ前にスライドさせた時に初めて前歯の裏側が当たり始めるのが正しい噛み合わせです。

 

一方、側方に動かした時、例えば顎を上下歯を合わせた状態で右にずるずると動かした時には最初に犬歯が当たっていなくてはなりません。これは以前のブログで「犬歯の重要性」の回でもお話ししています。

 

つまり前歯と奥歯の連携と役割がそれぞれにあるのです。

 

顎を中心としたこの咀嚼サイクルはピストン運動のような結構力強い反復運動です。咀嚼サイクルの中では、前歯と犬歯は噛み切ったりする以外の時にはいちいち接触させて食べてはいません。そこの位置に犬歯がある、前歯があるという事を既に無意識に脳が理解しているために、早い咀嚼運動の中でも邪魔にならずに前歯と犬歯が存在できており、なおかつ、その存在自体が咀嚼サイクルを制御しているということになるのです。

 

前歯と奥歯2

 

 前歯の役割、奥歯の役割が顎関節と影響

 

 

細かい咀嚼サイクルの中に、うまく前歯と奥歯の連携が取れた位置にご自分の歯が並んでいてくれないと、その歯は噛むたびに他の歯より必ず疲労し始めます。つまり「調和」でなく干渉しているのです。

 

噛むたびに、食いしばるたびに、少しばかりの干渉が持続的に続くと、その歯が疲労してぐらぐらになったり、細かいキズができてそこから虫歯や歯周病になったり、 場合によっては、顎の方が痛くなったりもするわけです。

 

歯列矯正というと、よく出っ歯だから治したい、受け口を治したいとか、乱杭歯を治したい、とかといった見た目的なところに目が行きがちですが、 実は基本的には前歯と奥歯の連携を整えて、その人に合わせた咀嚼サイクルの中に、干渉の起きない歯を並べる作業のことなのです。

 

前歯と奥歯3

 個々の人の顎の解剖学的形態は歯の角度とリンクしている  2009年 武井、佐藤らの研究による
 臼歯に向けて歯の咬合面角度がフラットになっていくことから順次誘導咬合と呼ばれている

 

 

また虫歯や歯周病で特定の歯がダメになってしまった場合、基本的にはその痛い歯やダメになった歯を治療するのは当然でしょうが、本当は全体のそういった前歯と奥歯の連携を再確認して、干渉が無いかという所まで噛み合わせを考えて総合的に治療することがとても重要ではあります。

 


そうした治療計画の場合、結局はまず矯正治療が必要となるケースが沢山あるのも事実です。現実的には治療費用や期間などの壁で皆さんが矯正治療をお受けになれる訳ではないところも課題とも言えます。補綴的矯正と言って、歯を削り倒してかぶせ物で形を整えていく方法もありますが、基本的には歯そのものにかなりの侵襲を加えることになるのであまりお勧めできる方法ではないです。

 

機能的なモノは美しい…とよく工業デザインの世界では言われてきましたが、人の噛み合わせについてもそれは全く同じと言えましょう。

 

当医院で行っている歯列矯正や大掛かりな義歯を製作する際、予め【顎機能精密検査】がまず必要となるのはそのためです。

 

顎機能精密検査によって、その方の顎の解剖学的な上下の関係と角度、更には動かした時の機能的な運動状態、そして干渉の有無等を多角的に判断してその方の咀嚼サイクルには本来どのように歯が並んでいると安定して機能していけるのか、といったことが分かります。

 

医科の分野で大きなオペをする際は、必ずと言っていいほど色々な検査をして、初めて方針を立てて手術をするのに、何故歯科の分野ではかぶせ物や最終義歯の種類の説明ばかりに目が向いてしまうのか?また見た目の部分だけを整えようとする傾向があるのか?残念ながらそうした噛み合わせによる干渉の原因などから話をしていては、本質的に治すという事が、とても長い作業となってしまい、治療費用や期間から患者さんの側で無理だと諦められてしまうからだと思います。

 

皆さんはご自身で、どこまで介入してほしいのか、どうしたいのかをしっかりと担当の先生とお話しされてから治療に進んでいくべきでしょう。これから先の人生の中で、どうすれば安定した状態を長期間維持できるかを一緒に考えていける先生を見つけて頂きたいです。

 

投稿者: アクアデンタルクリニック