第2回
② 一部の歯だけがよく痛んだり、腫れたり、グラグラしている…
右下のかぶせ物(ブリッジ)の歯ぐきがよく腫れて、グラグラしているとのことで来院された患者さんのレントゲン写真ですが、歯を支えている周りの骨が溶けてなくなってきているのがよく分かります。
動揺が激しく保存不可能なため抜歯となりました
歯の周りには大量の歯石がこびりついていました。向かい合っているかぶせ物との精密な噛み合わせが調整されておらず、また全体的な噛み合わせの調和がとれていないために歯根と骨との間に絶えず加わり続けた横揺らしの力(ジグリングフォース)で歯根の周りの組織にゆるみや断裂が生じた結果、プラーク中の細菌の進入を許してしまい、歯石となり、骨の吸収が起きてきたためであります。
このように特定の歯のみ歯槽膿漏になって腫れたりぐらついてきた場合、これまでいろいろな歯科医療機関においては単に「あなたの歯の磨き方が悪かったからです」とか「かぶせ物が歯にきちんと合っていなかったからです」と言われて終わりにされてきたようですが、ここでよく考えてみてください。全体的に歯槽膿漏が進んでいて、特にそこの部分だけ更に悪いと言われるのならまだ分かるのですが、なぜ他の部分は何ともないのに、そこの特定部分だけ悪くなるのでしょうか?そこの部分だけ磨いてなかったからでしょうか?1日3回きちんと歯科医院で教わった方法で磨いていてもなぜか特定の場所だけどんどん歯槽膿漏が進んでいく経験があると思います。それは診察する側つまり医療機関である我々の側で別の大きな原因、つまり『咬合の不調和』を見落としているからなのです!!
健康保険で入れたかぶせ物なら話は別としても、自費診療で良い素材を使って高いお金をかけたとしても、形態的に不調和なかぶせ物をよく見かけます。
つまり、素材は良いものであればそれにこしたことはないのですが、問題はその人個人個人の顎の動きに合った、長期的に調和して機能していける形態のかぶせ物であるか否かということなのです。
では具体的にこういったかぶせ物はどのように作っていくのでしょうか?次回からh具体的にお話ししていきます