院長コラム

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2018.06.02更新

前々回5月23日の院長コラム「入れ歯はインプラントより劣っている??」で登場した「自分の歯のような入れ歯 テレスコープシステム」についての反響とお問い合わせが多かったため今回のコラムまとめてみました。

 

現在、歯を失ってしまった時はインプラント、という傾向が顕著で、その機能性、審美性と快適性から素晴らしい方法であることは誰もが認める事実であり、当医院でも開業時以来17年取り組んでいます。一方、日本は超高齢社会に突入し、その多くが他に病気を持っている、歯周病がある、骨粗しょう症で顎の骨がもろい、などの理由でインプラント治療が難しい場合もあります。更にはインプラントにトラブルが起こった場合、介護が必要となった場合、など体力的にも非常にリスクが高くリカバリーが困難になることは必至です。

その際の新たな選択肢となるのが、歯科先進国ドイツで開発された「テレスコープ・システム」です。テレスコープシステムは、130年の歴史があり、世界で高い評価を得ている技術です。

 

 

テレスコープシステムは、従来の周囲の歯にバネをかけて装着するものではなく、残っている歯に金属製の「内冠」をかぶせ、それに合わせて入れ歯と一体化してつくられた「外冠」を装着するというものです。内冠と外冠との摩擦力を最小限に抑え、留め金を入れ歯の中に組み込むことによって、支台歯への負担も少なくなっています。ボタン式の留め金で簡単に取り外しが可能ですが、自然に動いたり外れたりすることはありません。
このように、「テレスコープ・システム」は、リカバリーやメンテナンスも安易で清掃性もよく、従来の入れ歯とは異なり、まるで「自分の歯のように噛めて」長期的に安定して機能するメリットの大きな治療法です。

メルセデスベンツやBMWなどの高級車から、ミーレ洗濯機のように、ドイツ人は安全性、経済性と合理性を追求する国民です。そんなドイツ発祥のテレスコープシステムとインプラントの融合が、これからメインとなっていくことと思います

 

様々な種類のテレスコープ システム(義歯タイプ、ブリッジタイプ)による補綴について
虫歯や歯周病で歯を失ってしまった場合、その部分を補うためにする治療法は大きく分けて4通りあります。

 

1. ブリッジという残っている両端の歯を柱にし、橋渡しでセメントにより固定してしまう方法(健康保険のものと自費のものとがあります)
2. 義歯という取り外しのきく人工の歯で周りに残っている歯にワイヤーで引っ掛けてささえる方法(健康保険のものと自費のものとがあります)
3. 骨に直接人工の歯根を手術で埋めて再生させるインプラントのかぶせ物(自費のみ)
4. テレスコープ システムによる補綴(自費のみ)
 

その中でインプラントは一番違和感が少なく周りの歯に負担をかけないという意味で、患者さんのご希望に沿う場合には最近では最初の選択肢の一つとなってきています。しかしご高齢の場合や歯が抜かれてしまった部位が歯周病を長く患っていたために骨が吸収して少なくなっているために、インプラントを埋入したいと思ってもその部分の骨が残っていないといった場合には、インプラントでの治療ができない場合も多々あります。

そんな場合でもワイヤーで引っ掛ける義歯では違和感の問題や、ワイヤーが見えると年寄り臭さがあるということで入れたくないという方もかなりいらっしゃいます。そういったが義歯の違和感や審美的な欠点を克服していて、しかも硬いものもしっかりと食べられるタイプの義歯作れないものかと考えるのは当然でしょう。それを可能にしたのがドイツで開発されたテレスコープ義歯を呼ばれるものです。テレスコープとは昔海賊が使っていたような長い眼鏡と形が似ていることから名付けられたという経緯があります。

残っている歯を削ってまず内冠と呼ばれるシリンダー状のかぶせものを作り、セメントで固定します。その内冠に精密に勘合する外冠と呼ばれる表面が歯の形をしている補綴物を作ります。外冠はさしずめ茶筒の内蓋と外蓋のような関係で、基本的にはその間に生じる勘合力によって維持され、もちろん取り外すことができます。

様々な種類がありますが、内冠と外冠の維持の方法による分類では以下のようになります。

① 内冠と外冠の維持を楔(くさび)効果の力だけでするコーヌステレスコープ right arrow 全ての歯に内外冠の維持力がかるために歯周病の歯牙には使えない。維持力が強すぎるためにコントロールが難しい。
② 内冠と外冠の維持を閂(かんぬき)だけでするリーゲルテレスコープ  right arrow 着脱時に歯牙にストレスがかからないので支台歯以外の歯が歯周病でも使えるが、もし維持となる歯が抜歯されてしまうと突然使えなくなる場合もあるので特に維持歯はなるべく神経を取らずに、もし神経が無い場合はしっかりとした基礎治療をする必要がある。

 

リーゲル1リーゲル2

リーゲル3リーゲル4リーゲル5リーゲル6リーゲル7




③ 内冠と外冠の維持を特殊樹脂の力だけでするソフトアタッチメントテレスコープ right arrow 内冠にディンプルという小さい穴の溝がほってあり、外冠についているソフトアタッチメントがここに勘合することで維持力が発生するため、着脱時の内冠へかかる力が均一でないのとソフトアタッチメントの凹凸関係を乗り越える際の歯牙への負担が少しはかかってしまうのは否めない。そういった意味ではコーヌステレスコープの時の欠点が残された状態と言え、歯周病の歯には使えない。支台歯が抜歯になっても他の支台歯が残っていればリカバリーが可能。5年くらいでソフトアタッチメントが劣化してくるので、その都度パーツの入れ替えが必要となる。

 

ソフトアタッチメント1ソフト2ソフト3ソフト4ソフト5

 

④ 上記①~③にインプラントやマグネット(磁性アタッチメント)を併用したテレスコープ right arrow 5月23日の院長コラム「入れ歯はインプラントより劣っている??」で登場したタイプ。 これからの時代は特にインプラントと併用したこのタイプが増えていくものと考えられる。


当医院では上記②③④のタイプのテレスコープを患者様それぞれの状態に応じて提供させて頂きます。

 

コーヌステレスコープ義歯はドイツのケルバー博士が考案し、最初に登場したものですが、基本的に支えとなる歯が歯周病に罹患している場合には禁忌です。外すときにかなり強い力がかかるので、歯周病などで弱っている歯には耐えられません。もともと歯を失っている口腔内の方は残っている歯はすでに歯周病などに罹患していて弱っていてぐらぐらしている場合が多いのが現状ですが、過去にその禁忌を破ってしまう先生がコーヌステレスコープを入れてしまうというケースが臨床上多発しました。早期に支えとなる歯牙がその勘合力に耐えられなくて抜歯というトラブルにつながり、現在では下火となってほとんど使われなくなりました。もともと楔の効果で内外冠の立ち上がりの角度6度が最適とされていましたが実際維持力の調整も難しく、長期的な使用による内外冠の摩滅で維持がゆるくなってしまった場合のリカバリーが難しいといった欠点もありました。

 

リーゲルテレスコープ義歯というのは内冠と外冠の勘合力は全くなく、着脱時に力は一切かかりません。そのかわり維持として使う歯に、閂のような細工を施して、外す時にはその閂であるアタッチメントを外して使うという義歯です。維持装置としてボタンを押して外すタイプや、スライドさせて外すタイプなど、様々な種類がありますがこの技工物を作ることができる技工士さんがかなり少なく、またドイツ仕様のちゃんとした製作装置を導入している技工所が少ないことからコストがかかり完成まで時間がかかるという欠点もございます。しかしながらインプラントではその上部構造も含めて5、6本の値段で片顎(上顎または下顎)をカバー出来るため費用対効果は非常に高い思われます。

 

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より詳細は一度来院して頂きご説明させて頂きたいと思います。

投稿者: アクアデンタルクリニック